私が体重ベアを知るきっかけになったのが、結婚式の打ち合わせのときの担当プランナーからの提案でした。
女手一つで育ててくれた母に感謝の気持ちを表したいけど、手紙は恥ずかしいし、読める自信がないと相談したことがきっかけでした。
「おふたりの出生時の体重と一緒の重さを体重ベアとして、ご両親にプレゼントされてみてはいかがですか?」と言い、見本を見せてくれました。
とても可愛くデザインされた体重ベアに愛着が持て、当日それを渡した時の事をイメージし、喜んでくれると思い取り入れることにしました。
実は私は低体重で生まれ、その時のことを母は今でもいます。
「生まれた時は、とっても小さくて、保育器の中で小さく動いただけでも感動だったのに、今ではこんなに大きく憎まれ口も叩くようになったものね。」と皮肉たっぷりに言います。
今まで親孝行らしい事は何一つできず苦労をかけてきた母に対して、少しでも感謝の気持ちを添えれたらいいなと思いました。
結婚式の準備もはかどり、式場に体重ベアが届きました。
主人の出生体重の半分ぐらいの重さの私の体重ベアは本当に軽くて、足には私の生まれた日付と体重が刺繍で縫われていました。
そして可愛く優しいその体重ベアの顔を見て、母の育児の苦労を想像していました。
今までほんとに大変だっただろうなぁ。
この優しい体重ベアを抱いて、今までの苦労を報いてあげたいと思いました。
式当日、私も緊張などで、いっぱいいっぱいになっていましたが、母はずっと参列者の方々に挨拶やお酌をしに行っていました。
本当に強い母で、式の時も涙は流さず、凛としていました。式もおひらきに近づき、いよいよ、体重ベアを贈呈するシーンになりました。
私たちの座っているメインテーブルから末席の両親にと歩く道中、司会の方からの体重ベアのコメントが入りました。
それを聞いた瞬間の母が、いつも強く決して泣くことのなかった母が、涙をこらえず泣いているのです。
ようやく母のもとにたどりついた時には、普段化粧もしない母が気合いを入れてした、せっかくの顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いていました。
体重ベアを手にした時、私の勝手な期待かもしれませんが、母の今までの苦労が少しでも報われた気がしました。
そして、母のありがとうの言葉に母のことして生まれてこれた事に誇りを持ちました。
体重ベアは今も実家に大事に飾られ、新しく生まれてきた私たちの子供の遊び相手になってくれています。
本当に素敵な演出で、心に残るいい思い出になりました。