私は、妻と約2年前に結婚式を挙げました。
お互いの両親・親族をはじめ、同僚や友人、総勢100名ほどの参列者に祝福され、私たち夫婦は至福の時間を過ごすことができました。
披露宴も終盤に差し掛かり、妻の両親への感謝の手紙が終わったあと、お互いの両親に体重ベアを贈ることに。
実際に手にしてみると、私たちが生まれた頃の重さはこんなに軽かったものかと実感させられます。
私は3230グラムのものを、そして妻は、わずか1500グラムのものを。
そう、私の妻は未熟児として生まれてきたのです。
妻がまだ義母のお腹の中にいた時のことです。
義母は生死をさまよっていました。
もともと心臓病を患っていた義母は、妊娠して数ヶ月後に状態が悪化。
このままでは母子ともに命が危ない状態になりました。
義父は、妻の命をとるか、お腹に宿った小さな子の命をとるか選択に迫られたそうです。
その時、義父の脳裏に浮かんだのは、義母とのある約束でした。
二人は子宝に恵まれず、やっとの思いで妊娠することができました。
その神様からの宝物をぜひと産みたい。
義母はそう願っていたようです。
もともと病弱だった義母は、危険な出産になることを予期していたのでしょう。
そこで、義父に対して「私の命に関わるようなことがあっても、何としてもこの子だけは産んでほしい」と頼んでいたのです。
義父は医者と相談の上、帝王切開による予定より早い出産を選択し、それから妻の手術を行うことに決めました。
そして、未熟児ながら子どもは生まれ、なんとか義母も一命をとりとめることができたのです。
残念ながら、義母は今から3年前に亡くなりました。
私たち夫婦の結婚式に出席してもらうことはできませんでしたが、義父と義母の一大決心がなければ、私の妻は生まれてこなかったし、私と結婚することもなかった……。
そう考えると、わずか1500グラムの体重ベアが、すごく重みのあるものに感じられました。
体重ベアは、私たち夫婦に人生の重みを教えてくれました。